【歴史】ちょっと細かい中学社会① 聖徳太子の手紙

2025年10月17日

聖徳太子の手紙などの写真

出典:ウィキメディア・コモンズ「煬帝」(原画:閻立本、ボストン美術館所蔵)/パブリックドメイン

 

こんにちは!
戸塚区柏尾町の学習塾、フィロソフィア柏尾教室講師の相澤です!

これまでは、留学先のドイツやギリシアの話を、シリーズでしてきました。

👉「ドイツとギリシアの料理から考える(前編) 〜フランクフルト編〜」はこちら
👉「オリーブたべるな? ~地理・ギリシアとオリーブ(前編)~」はこちら

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今回は、楽しく歴史が身に着く「日本史」のお話をしてみたいと思います。


📜 聖徳太子の手紙、覚えていますか?

突然ですが、こんな文章を中学社会で習いませんでしたか?
まだの方も、学習が進んでいくと、これから必ず目にする文章です。

「日出處天子致書日沒處天子無恙。帝覧之,不悦。」
(『隋書』巻八十一・東夷伝・倭国条)

現代語訳:
「日の出るところの天子が、日の沈むところの天子に書を送ります。お元気ですか?
帝(皇帝)はこれを見て、喜ばなかった。」

そう、607年に聖徳太子が隋の皇帝・煬帝(ようだい)に送ったとされる手紙の一節です。

さて、ここで問題です。
Q.煬帝「悦ばず」となった理由は、文中のどの部分にあったのでしょうか?

A.天子
B.日沒處(日の沈むところ)
C.無恙(お元気ですか)

▶ 正解を表示する

正解は、A.天子 でした!

この「天子」という言葉こそ、煬帝がむっとしたポイントでした。

なぜなら、「天子」とは中華文明の中で「天下を治める、ただ一人の権力者」を指す言葉。
つまり、他国の君主が自らを「天子」と呼ぶことは、当時の中国の国際秩序(冊封体制)では「ありえない無礼」だったのです。


🌏「日出處」と「日沒處」は、リスペクトを込めた表現

ここでよくある誤解が、「日出処」「日没処」という言葉です。
一見、東西の優劣を比べているように見えますが、実はこれは仏教的な世界観に基づいた表現です。

当時、煬帝は熱心な仏教徒で、倭国の使者から「菩薩天子(仏の教えを守る王)」と呼ばれていました。
そういった背景において、倭国(日本)側は、仏教的な言葉遣いで整えた外交文書にしたと考えられています。
つまり、挑発ではなく「礼を尽くした、宗教的に高尚な表現」であり、リスペクトを示したかたちだったのです。


🤔 「悦ばず」は「激怒」じゃなく、「気に入らない」くらいの意味

さまざまな歴史の解説を見ると、ときどき「煬帝は激怒した!」と紹介されることがありますが、原文にある「不悦」というのは、あくまで「気に入らなかった」程度の意味です。

現代語で言えば、

「うーん、ちょっと気になるな……」

くらいのニュアンスなんです。

この「不悦」も、冒頭に一文を紹介した『隋書』(中国の歴史書)に、明確に記されています。


「帝覧之,不悦。曰:蠻夷書有無禮者,不可復以示。」
(皇帝はこれを見て喜ばず言った。『蛮夷の書に礼を欠くものがある。もう再び示すな。』)

(『隋書』巻八十一・東夷伝・倭国条)


🏯 この視点を持って歴史を学ぶと、楽しくなります

なぜ私が今回この話を取り上げたかと言うと、それは、「歴史を学ぶうえで欠かせない視点」をみなさんに持ってほしいからです。

一見すると、日本の中の出来事に見えることも、実はその背景には、宗教・国際関係・言葉の文化的な意味が深く関わっています。

歴史は「国内の出来事」だけで完結するものではありません。
つまり、日本で起きた一つ一つの動きは、当時の東アジア世界の流れと密接につながっていたのです。
また、人間の「思い」や「気持ち」、そしてそのぶつかり合いが歴史を動かしてきた側面があります。

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機械的に暗記しようとしてしまいがちな、歴史の勉強。いわゆる「暗記科目」(と言われてしまう)分野の代表格でもありますね、、、。
もちろん、「明日のテストまでに覚えなきゃ、、、!」というシチュエーションだと、そうなってしまうのもしかたない部分もありますよね。

でも、ふだんから丸暗記に走ってしまうのは、「楽しさ」という意味でも、「記憶の定着」の観点でも、とてももったいないです。

今回お伝えしたように、一つ一つの言葉に、じっくりと思いを巡らせてみる。

 

人間が持って生まれた性質や思考というのは、今も昔もそれほど大きく違わない、と思っています。
ですから、ちょっと立ち止まって、当事者の気持ちなども考えてみると、楽しくなりますよ!

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次回は、「世界の中の日本史」という視点から、倭国(日本)がどんな意図をもってこの外交を行ったのか、その「したたかさ」を見ていきたいと思います。

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